7月の短歌(2020年)

ごりらない、ごりれば、ごりる、ごりれれば、わたしとごりりませんか、今夜。

こころにはこころのバンクシーがいてきれいなこころの画を描いている

あのころの二人に戻れないことや徹子の部屋に壁がないこと

傍目には青に見えるがほんとうはなかなかサイケデリックな芝生

嵐にも名づけの親がいるということの途方もない宿痾わね

フルーチェを混ぜるスプーンにかかりくる重さのようなはじまりがある

溶き卵 人を呪わば穴ふたつ 仕上げにかけるオリーブオイル

全身でその音に震えていたいいまずぶぬれの案山子になって

終電のほうはべつに逃げたと考えちゃいない おれらのそういうところ

おれの心臓のBPMは190になったぞ 君は気づくのかい? おれはもう死ぬのかい?

は?? わたしの心臓のBPMはとうに256なんだが?? お前はもう死んでいる 私はもう死んでいる

「これは短歌ではない」あるいは記号と身体との現代的ポジシオン*

チンコカユ…ビール飲みたい…エアコンのリモートコントローラはいずこ

はー那由多 ひとのいのちは塵芥 生まれても評されない短歌

軌道線上から詩的飛躍するためだけに喚ばるるポロロッカ

メシアです メシアしますか 奥入瀬の渓流などを二人っきりで

ちぎれゆく生ける屍喩(メタファリカ)からほとばしる虹の飛沫は花火のようで

「『ぽえじー』は惹き合うチカラ、想像(フィクション)と世界(リアル)を

むすびつけるチカラや!」 押しボタン式信号を12連打すると、彼岸に渡って行ける

ちいちゃんは慣れた手付きで「ぽえじー」を右手の鮪切りへと込めた

ちいちゃんの小さな声がこだまする「ことばよ、もとの姿に還れ(マジックリアリズム・リターニル)!」

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