11月・12月の短歌(2019年)

こんばんは、風です。ご用命あらばすぐに優しく語りかけます

振り返れば奴がいるっていうときの奴ってやつは実はおれです

ドストエフスキーしずかに読みおえてここは出口のない子ども部屋

水槽にさかなを容れて飼うようにたぶんこのまま付かない既読

いちご100%から分岐したトゥルーエンドであるわたしたち

さよな、らのな、のあたりまで言いさしてぼくら汀の雪だね、まるで

あーやめてそんな速さで暮らしたら虚無虚無にゃんこになってしまうよ

悲しみの野に下り立った神さまが心をこめてキメるジョジョ立ち

ほんとうのものは滅びたあとなのにみんなふつうにふつうですごい

ただのびじゃないのよ これはほろびのび ほうらこんなにきらきら光る

えるしってるか あの頃の思い出はまぶしくてまぼろしと見分けがつかない

ああおれもバズりピエロになりたいな(バズりピエロはバズるピエロさ)

もうそこに輪郭はなくただ保温されない便座のような冷たさ

ひとは誰もがこころに空蝉を飼っていてつぶしてしまって泣いたりもする

ほころびを匿うようにそこここに袋小路な真冬の星座

キメセクの果てにぼくらのコズミック・イラはどこへと向かうのだろう

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