性格が悪い

2017年以前に公開した短歌のまとめ

山手線

ぐるぐると山手線はループするここが僕らの夢の末路だ

いつまでもこどものままでいることを望んだように空蝉がある

ここいらのツクツクボウシは律儀にもツクツクボウシとしか言わない

ぬるぬるとラジオ体操第一は滞りなく再生される

冷めきった冷やし中華のありようは態度としてはとても正しい

なんでだか鼻腔にリフレインしてるカブトムシ用ゼリーのにおい

ヒマワリと呼ぶべきものの成れの果て枯れてしまった枯らしてやった

飛びまわる赤い合体トンボたち 家族ごっこはたのしいですか

今度こそちゃんと世界を終わらせるためのレースの号砲が鳴る

夏という夏が纏わりついてきてプールの後はひどくけだるい

あとすこし経てば始発がはしりだす今宵の僕はこれでおしまい

チーズ蒸しパンになりたい

(´Д⊂ モウダメポ 打ちのめされた感があり「ぎゃふん」といって背伸びしてみる

おれはもうダメだ。そもそもJKになれん時点で負け組だった。

人間に生まれるべきじゃなかったと思う。モモンガとかがよかった。

なにもかもどうでもいいしなんかもう早見沙織と結婚したい。

人として足りないものを書き出してcounta()で数える作業

ガチでもう死にたいわってときは「はあ…おっぱい…」と言うことにしている

コンビニで理想の恋は買えなくて代わりに買った理想のトマト

運命の人はタクラマカン砂漠とかまで行けば、たぶん会えます。

おれだって愛されたいし、明日からアンゴラウサギとして生きたい。

けどやっぱおれら大人になっちゃってよかったんだよ。梅酒うまいし。

ロボットの篠原くんの日曜日

冬の足音が新宿三丁目駅の付近を颯爽とゆく

(天の声) 「説明しよう!ロボットの篠原くんはロボットなのだ!」

ロボットの篠原くんは世界一きれいな欠伸をするロボットだ

この街で篠原くんは平凡な大学生に擬態している

伊勢丹の角を曲がってゆく彼を誰もロボットとは思わない

けどそれは当然のこと。だれひとり去りゆく秋にすら動じない

不確かなこと・不確かなものを載せ 京王線の車体はきしむ

とびきりにサディスティックな形状で新宿で売られてるドリアン

たましいと呼びうるものはあのドン・キホーテの棚の最奥にある

こうやってビルの谷間をビックロの袋を提げてゆく異物感

すれ違う中国人よ生き急ぐなかれ力を脱いて生きなよ

ロボットの篠原くんはまたひとつふわわと欠伸をした。もう夜だ。

彼の任務はひとつだけ。ほどほどに、できればしあわせに生きること

夜食を欠かすことはできない

ちはやぶる神さまのバカヤローってトイレのなかで呟いてみる

てふてふよ、おまえはいいね。ひらひらとひたすら逃げていられるものね

カップヌードルができるのを待つあいだだけは未来がすぐそこにある

びゅうびゅうと加速していくもがり笛、さしずめ置いてけぼりの僕ら

トーキョーの夜景はまばゆすぎるので泳ぎきるには浮輪がほしい

かなしみも孤独もうつも空腹もぜんぶ攫ってくれよ春風

夢を見た。君が宇宙の渚から僕を探してくれている夢

良識を備えた地球人として夜食を欠かすことはできない

最近のつぶやき

全国のユカイなネクロマンサーの皆さん、こんちにわ!(こんちにわ!)

肉まんと缶コーヒーをひとつ買いはふりはふりと喰う朝ぼらけ

赤色の色鉛筆のきっさきを凶器のようにとがらせておく

うすらいのごとくつめたき三日月のへりに置きたるコップのフチ子

「君にほらラブずっきゅん」と口ずさみながら夜道をひとりで駆けた

うすはりのビールグラスにとぼとぼと苺ミルクをそそぐ愉しさ

ソーダ水のはじけるような音をたてあられは屋根に降りにけるかも

じんせいのままならなさに泣きそうなので、今晩は肉を食べます

ごめん、海。わたしやっぱりあなたにもこころをひらくことができない

さよならをいうとき中尾隆聖の声が出せたらおもしろいのに

きっとまだどこかで海に飢えていてのりしお味のポテチを選ぶ

宵闇にひたるふりしてどうせまたえっちな動画を見てたんだろう!?

便箋を買ってみたけど「春ですね」以外書きたい文字列がない

青春の不在にポプテピピックな感じで中指立てて生きてる

ストロングゼロでひとりで酔っているわたしわたしがいちばんきらい

ぶらんこに立って乗ること愛なんかなくてもやっていけていること

一〇〇〇年後、桜の花の咲くころにウユニ塩湖でまた会いましょう

きっともう二度と会えないことすらもおりこみずみの余生なのです

金魚玉

新木場はステラウーパールーパーの巣窟 ぼくは人間じゃない

こう見えて鰓呼吸だし乙女だしすったもんだの恋もあったぜ

ぷくぷくと桃色吐息の泡を吐けばそこは地球で地球じゃなくて

今月もFacebookの友だちになれないままで終わるのだろう

ああぼくの愛しい人よ! LOVEしろよ! たまにはちゃんと野菜も摂れよ!

終電を逃しちゃっても春だからなんて理由で片付けるなよ!

ほっぺたにヒリヒリと突き刺すこれは異次元からの電信かしら

なにもかも手遅れである潮時にたゆたうために海原はある

新木場はステラウーパールーパーの魔窟さ ぼくは臆病者さ

よく晴れた日にはアホ面ひっさげてしゃぱしゃぱ宇宙遊泳してる

神さまを信じるような無邪気さでひっひっふーのリズムで泳げ

ぎゅっとしてほしいだれかに抱きしめてほしいそのまま殺してほしい

闇雲にきみにあわせる顔もなくごはんかいじゅうパップと踊る

うそばかり得意になって大人にはなれないしならないしもうやだ

人類はみんな真っ赤な寂しさに溺れて死んでしまえばいいよ

この星はぼくらを孤独死の間際まで閉じこめておく金魚玉

夕ぐれは西の空から迫り来る地球はまるい逃げ場などない

できる事は7度7分の湯たんぽをきみになぞらえ抱くことだけだ

6月の短歌(2017年)

風になることに性的興奮を覚えるマゾヒスティックなわたし

めがねだけ老けない人のいうならくおれも親父に似てきたらしい

八月の野球少年・前川の日焼けみたいな色のハムカツ

いろいろな想いをこめてにゃあとだけ言うのでにゃあと答えてほしい

生きたまま心に届くプロバイオティクスみたいな夏の風です

青春をかき氷器でゴリゴリと削るみたいなあれがやりたい

たんぽぽの綿毛のように軽率に一喜一憂する浮遊感

ゆでたまご状の物体Xをあなたは白き希望と呼んだ

春と修羅、夏と極道、秋と魔女、冬と悪鬼と書き出してみた

深緑の野山のようにどっしりとした体格の猫が寝ている

百合が好き(アイドルとしてプロデュースされたらファンになっちゃうレベル)

終わらない処女を積みこみ自転車の重心はいまその籠にある

メキシコのカンクンはいま朝なわけですし、もうちょい寝ていませんか?

もしタイムマシンを持ってたら俺は江戸川橋のマックに行くね

名も知れぬ鳥のことばだ名も知れぬ花の名前をさえずる声だ

音姫は流れ流れて美しく青きドナウになる夢を見る

「うち、さそり座の女とよ!」「そうなんだ」「そうとよ!」「ねえ、その『とよ』ってなあに?」

永遠なわけねーだろがこの雨もほらこの雨も落ちちゃうんだぞ

7月の短歌(2017年)

盆栽はその空間で思い出のメタファーとして機能している

ドラゴンのうんこ踏んだらこんなかなと考えながら踏む干潟かな

ねえ今日ねニトリでちりとり・ほうき星セット売ってて買ってきちゃった

やどかりは保身のためのポエジーを背中に背負った詩人の戯画だ

こちら月、感度良好です どうぞ そろそろお風呂にします どうぞ

安らかにおやすみ、ぼくのファンタジーにゃんにゃん 夢でまた逢いましょう

さけそうでさけないふうを装っているけどじつはさけちゃうチーズ

ぐうエロなキスを交わした室内が蚊取り線香臭くてウケる

ちょんまげの結い方なんか分かっても幕府ひらけるわけじゃないのよ?

夏風邪

エチケット袋いっぱい嘔吐した夢の残滓は胃酸のにおい

虫さされめっちゃ痒くて全自動虫さされ掻きマシンと化した

朝食をグミですませてきたけれど出社したので褒めてください

行っちゃった 終電どっか行っちゃった サンゴ礁まで 歩いて帰ろ

蝉しぐれみたいな発砲音だから誰も光線銃と気づかない

ややぬるいウーロンハイをよく冷えたウーロンハイで割った飲みもの

ふゆるららふゆらふゆるらふゆらるらふゆるらるらと飛ぶしゃぼん玉

干からびた犬のウンコのようですがこれがアナタの心臓ですか?

詩には詩の作法が、ヌードビーチにはヌードビーチの作法があって

通り魔はパピコを俺に咥えさせ「口封じ」って囁き、消えた。

髪型が悠木碧な女子はみんな悠木碧に見える眼力

【ご報告】結婚します。お相手は空手チョップが上手い人です

燃えたぎる愛と勇気を動力に金魚花火よまっすぐ進め

山手線ゲーム! 〜この夏したいこと〜 花火・合宿・西瓜割り・キス

退屈な日々を大幅リニューアル&新台入れ替えしたい

わけもなくかなしいときのかなしみをぴよぴよぴーと呼べば初夏

最終更新