3月・4月・5月の短歌(2019年)
花束を貰ったことが一回もない人生に、三月の雨。
うんちには絵文字があっておならには絵文字がなくて春のそよかぜ
セックスのせからはじまる生活という名前からして無理なやつ
枯れてゆくものに共感するために枯らされるサボテンかわいそう
新宿は豪雨とそっと歌い出すあなたの声が喚ぶ雨がある
向日葵になって貴女の唯一の寄る辺のように抱かれていたい
君の吐くやさしい嘘のチューハイの缶の点字のような冷たさ
仄暗い世界に横たわるあいだわたしは52Hzのくじら
落下する僕はあなたの立つ春に瞬く須臾の遠雷として
オナニーの後には他者のかなしみのわかりえなさを考えるよね
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